中元とは、日頃お世話になった先に中元の時期に感謝の心を物に託して贈る習慣をいいます。
中元は、中国の道教でいう3元の1つです。道教では、1年を3つに区切り、1月15日を上元、7月15日を中元、12月15日を下元とし、合わせて3元と称しました。
日本には古くから7月の中旬に、先祖の霊と両親などの生御魂を祭る霊祭りがあって、里帰りをして、先祖に感謝し、両親に魚などを送って孝養を尽くす日でした。また、江戸時代の商取り引きは、盆と大みそかに決算して、この時期顧客にお礼の品を配りました。これらの習慣が結び付き、一般にも広がって、日頃お世話になっている夏のごあいさつとして、品物を送る習慣が定着しました。




大体、下の人から目上の人への贈答が多く、お返しは本来しないもの、お返しの心配のない程度に贈ります。食品や日用雑貨品などの形の残らないもので、3千円から5千円ぐらいが目安です。お世話になったと感謝している人になら誰でも送る対象になります。が、会社の上司に贈りたい場合「虚礼廃止」としている所もあるので、会社の方針に従うのがよいでしょう。
お中元にもタブーの品物があります。目上の人には現金やそれに類するものを贈ってはいけないという一般的なルールはご存じでしょうか。お中元の場合も基本的には同じです。が、時代が変わればマナーも変わります。品物が殺到するようなお宅など、ギフト券、ビール券、商品券などをケースバイケースでアレンジするのもセンスの見せ所です。




中国の贈り物
「中元」という言葉の起源はお隣りの国「中国」です。ですが、日本のようにその時期に贈り物をする習慣はありません。しかし、元来中国では贈り物は盛んで、5月の節句にちまき、8月15日にはお菓子の月餅、12月22日には腸詰めを贈るというように、決まった贈り物をします。おもしろいのは、何でも「4つ」品物を贈ることです。日本では「四」は「死」につながり、縁起が悪いものとされていますが、中国では「四」の発音が 「喜」と同じなので、縁起の良いものとされているのです。ですから、「4」という単位で贈り物をすることが好まれるのです。
反対に、贈ってはいけないものは、「時計」です。というのも、発音が「終」(人の死を意味します)と同じになるからだそうです。縁起を担ぐのは中国でも日本でも同じなんですね。



中元は関東では7月1日〜15日の間に贈るのが原則です。(関西を中心に、旧暦の地域は1カ月遅くなります) それ以降になったら暑中見舞いとして贈ります。 本来、品物は直接持参してご挨拶申し上げるべきですが、多様化し、多忙な今の生活スタイルでは、デパートからの配送が主流になっています。この場合は、品物が届く前に、必ず送り状を出しましょう。 そして、いただいた側もお礼状を出しましょう。
(お礼状の書き方・文例集はこちらのサイトをご覧下さい。)