行くって来ました、八ヶ岳。私の人生で初めての山登りです。かなりご年配の方々も大勢いらっしゃったので、軽い気持ちで登り始めたのですが・・・甘かったんです。最初の30分程の間は、“もう二度と山なんか登らない”と何回思ったことか。
 そして情けなかったのは、12、3歳の子供達が“こんにちは”とさわやかな挨拶ととも楽しげに登って行くのです。
 さらに、どう見ても60歳近い女性のグループは世間話をしながら、“こんにちは、お先に”と、足取りも軽やかに私をさらっと追い越して行くではありませんか。彼らがいなければ私は登ることを止めていたかもしれません。が、そうなんです。彼らに刺激をうけて、私も登り切ったんです。
 自分の体ながら、「人間の体はすごいな」と思いました。登り始めて1時間を過ぎるころから、体が慣れてくるんですね。どう登ると自分にとって一番効率がいいか、体でバランスを取れるようになるのです。
 大股ではなく小股で歩くようになり、狭い道ながらも蛇行することで登りやすくなったり。そして、大変ながらも余裕も出てきて、風の動きや音を感じたり、木の匂い、鳥の声・・・。感覚が敏感になったような気がしました。

 本当に小さな小さな一歩の積み重ねなんですが、必ず頂上に到達できるんですね。頂上では既に大勢の方々が、豚汁を作ってお昼を楽しんでいたり、記念写真を撮っていたり、お昼寝をしていたり、すばらしい景色を楽しんでいたり・・・。
 ぽっかり浮かんで見える富士山の美しい姿、変わり始めた樹木の色、ひんやりと心地よい風、そして登りきった満足感、まさに“心を遊ばせる”・・・感動でした。

は、仕事が立て込み、疲れることは避けて通りたい、たまのお休みにはできれば1日中寝ていたい・・・なんて思っていた私ですが、やってみるものです。心も身体もリラックスしたのはもちろんのこと、山を登る方々の、さわやかさ、マナーのよさも勉強になりました。すれ違うときの挨拶や心遣い、自分のゴミではなくてもお互いに気をかけて持ち帰る気遣い、自然を大切に思い触れ合う姿勢・・・・などなど。
 自然との触れ合いの場所は子供の躾の場とよく言われますが、子供だけではありません。分かってはいることながら、私も改めて多くを学びました。


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